艦隊これくしょん講堂

史実で艦これ

航空母艦アーク・ロイヤル(HMS Ark Royal)③:閉鎖式

大西洋は海上気象が劣悪であるため、アーク・ロイヤルの設計時に以下のポイントも追加されました。


(1). 閉鎖式格納庫
(2). 閉鎖式艦首
(3). 高乾舷


閉鎖式の格納庫と艦首を採用したことにより、アーク・ロイヤルは耐風、耐波性に優れ、悪環境によく適応しました。しかし、閉鎖式格納庫の欠点は開放式格納庫に比べて保管できる艦載機の量が少ないことであり、また当時格納庫内で事故が発生すると深刻な結果(失火、ガスによる誘爆等)に至りました。高乾舷も耐波性と堪航性、艦体が波をかぶらない等のメリットがありました。ただし、戦艦の重心は高めでした。

航空母艦アーク・ロイヤル(HMS Ark Royal)②:アスペクト比

同時期のアメリカの「ヨークタウン級航空母艦」と日本の「飛龍型」と比較すると、アーク・ロイヤルは大西洋の悪天候に着目してアスペクト比が小さい設計が施されています。


アスペクト比が大きい場合、船体が細長いため、直行する時に受ける造波抵抗が小さく、船首もさほど波をかぶりません。


そして、アスペクト比が小さい場合は正反対で、横方向の安定性が良好です。また、横揺れの幅が小さく、横揺れ周期も長めです。


当然のことながら、これは相対的な概念にすぎず、一定の範囲内においてのみ成立することです。 かつてロシアにアスペクト比1:1の円盤戦艦が存在しましたが、操縦性は史上最低でした。

航空母艦アーク・ロイヤル(HMS Ark Royal)①:あらすじ

航空母艦アーク・ロイヤルは、イギリスで新規建造された非改造の航空母艦です。当時、イギリスはまさに世界恐慌の影響が波及していたため、ワシントン海軍軍縮条約により空母建造上限27,000tが定められたものの、軍事費の支出が抑えられ、1934年に基準排水量が少なめの約22,000tの空母建造案が承認されました。